粒子同士あるいは粒子と壁の接触・衝突における弾性変形を解析するための理論である。接触する二つの球が,摩擦なしで垂直力 によって押し付けられたときの接触半径 は次式で表わされる。
ここで, は換算粒径,
であり,壁との接触では とすることにより となる。 は二つの物体のヤング率(,)とポアソン比(,)から決まる定数で,次式で定義される。
また,接触円内での圧縮応力に分布があり,中心における最大圧縮応力 は次式で表わされる。
これらの解析は衝突時の弾性変形にも適用され,最大圧縮変位や衝突時間の解析に利用される。ヘルツの理論は,摩擦を考慮する場合や異方性材料を取り扱う場合などにも拡張されているが,解析的な手法は比較的単純な系に限られるため,少し複雑になると有限要素法などが用いられる。
執筆者:粉体工学用語辞典
更新日:2021/06/16